嫌がらせの手紙が送られてきたり、誹謗中傷の貼り紙が貼られていたりしたら、誰が嫌がらせをしているのか犯人を突き止めたいですよね。犯人が誰なのかはっきりしなければ安心して生活することは難しくなってしまうでしょう。
しかし、嫌がらせの手紙について警察に相談しても、警察はなかなか捜査をしてくれません。また、どこの誰が犯人か見当がついていないとどのように調べたらいいかわからず途方に暮れてしまいますよね。
そこで知っておいたほしいのが、嫌がらせの犯人特定に活用できる指紋鑑定です。指紋鑑定というと、刑事ドラマなどで指紋を採取するシーンを見たことがある人も多くなにやら仰々しいものだというイメージを持っている人も多いかもしれませんが、指紋鑑定は嫌がらせの犯人特定においてとても効果を発揮する方法です。
今回は、どのような場合に指紋鑑定を依頼する人が多いのか、また、指紋鑑定について知っておきたい大原則や指紋鑑定でよくある疑問についてお答えしていきたいと思います。嫌がらせ被害に対して泣き寝入りしたくない方、犯人を特定したい方、大ごとにせず嫌がらせ被害を解決したい方はぜひ参考にしてみてください。
今回は指紋鑑定にフォーカスをあてて解説していきますが、嫌がらせの手紙の犯人を特定する方法は他にもいくつかあります。
ここでは、嫌がらせの手紙の犯人特定においてよく使われている調査方法について見ていきましょう。
嫌がらせの手紙や張り紙が手書きで書かれている場合は、指紋鑑定の他にも筆跡鑑定が犯人特定に役立ちます。
なお、筆跡鑑定は専門性の高い調査方法なので、嫌がらせ調査をしている探偵事務所の中でも調査を受けてくれない事務所もあります。筆跡鑑定を依頼したい場合は筆跡鑑定を行っているか、もしくは提携している専門業者があるかどうかを事前に確認しましょう。
今回詳しく解説している指紋鑑定ももちろん嫌がらせの手紙の犯人特定に効果を発揮します。
嫌がらせの手紙や怪文書が手書きではなくパソコンなどで書かれている場合は筆跡鑑定ができませんが、指紋鑑定による犯人特定なら可能になります。指紋は人によって異なる固有のものなので、犯人を特定する上でより確実な証拠として認められます。
ただし指紋鑑定を行うためには、嫌がらせの手紙や張り紙はできるだけ最初に発見したときの状態のまま保管しておく必要がありますし、できるだけ早く調査をすることが大切です。
指紋鑑定を検討しているのであれば、被害を受けたらできるだけ早く専門機関に相談するようにしましょう。
筆跡鑑定や指紋鑑定は犯人の検討がまったく付いていない場合はなかなか調査が難しくなります。
そのような場合は、探偵が得意とする張り込みや聞き込み調査を行って犯人の目星をつけていくことが有効です。自宅のポストや消印が押されていたポスト付近などで張り込みと聞き込みをし、手掛かりを掴んで犯人を絞り込んでいきます。
張り込みの際には高性能のカメラも持っているため、次なる犯行に及んでいる現場に遭遇すれば決定的な証拠写真や動画を撮ることもできます。張り込みや尾行中に鮮明な写真や動画を撮ることは思っている以上に難しいスキルなので、探偵に依頼する大きなメリットと言えるでしょう。
それではここからは指紋鑑定に絞って詳しく解説していきます。まず、指紋鑑定を依頼する方はどのような経緯で調査を依頼しているのでしょうか。
指紋鑑定を依頼される方の相談事例を見ていきます。
指紋鑑定の相談や依頼の中で最も多いのが、嫌がらせの手紙を受け取ったというものです。
・企業宛に誹謗中傷の内容の手紙が何度も送られてくる
・自宅に脅迫めいた怪文書が送られてくる
・自宅の玄関に嫌がらせの貼り紙が貼られる
・自分が出している店に嫌がらせの紙が貼られる
などの相談です。
個人に対しての嫌がらせや会社に対しての嫌がらせなど様々で、誹謗中傷や脅迫するような内容であれば安心して生活していくことが難しくなってしまうでしょう。
また、企業の場合は怪文書や嫌がらせの手紙のせいでイメージダウンを招きかねませんし、社内の秩序を乱してしまうきっかけになるでしょう。
しかし、このような事案では、警察に相談してもなかなか捜査や鑑識をしてもらえないのが現状です。
民間の調査機関に依頼することですぐに調査を開始してもらえ、犯人特定の力になってもらえるため、嫌がらせの手紙や怪文書のような物的証拠がある場合は指紋鑑定が有効な調査手段となるのです。
指紋鑑定を依頼される経緯の中で嫌がらせの手紙の次に多いものが、社内や家庭内での窃盗に関する依頼です。
会社内でお金が盗まれてしまったり、家庭内でたびたび財布からお金が盗まれていたりする場合、明らかに社内の人間や家庭内の人間だとわかっているため、警察沙汰にはせずに内々に犯人を特定して解決したいという相談が多くなっています。
また、家庭内での窃盗の場合は被害額にもよりますが、警察は刑事事件として取り扱ってくれないことがほとんどです。
いずれの場合も、大ごとにはしないけれど、とりあえず犯人を特定してその証拠をつかんでおくことで、今後の窃盗被害の対策に役立てることができます。
窃盗が起きているものの、被害額がそれほど大きくない場合や、社外に公表したくない場合などは警察よりも民間の調査機関に依頼して犯人を特定する場合も非常に多いのです。
指紋鑑定によって嫌がらせの手紙の犯人特定や社内窃盗の犯人特定が可能であることはお伝えしましたが、指紋鑑定をする前に簡単に指紋についての原則をおさらいしておきましょう。
これらの大原則があるからこそ、指紋鑑定によって犯人を突き止めることができるのです。
1つ目の指紋の原則は、指紋は一人一人違っていて、世界中のどこを探しても一人として自分と同じ指紋を持っている人物は存在せず、子供や孫にも遺伝しないというものです。
この性質は多くの方がご存知ではないでしょうか。ちなみに、通常人は左右合わせて10本の指を持っていますが、そのすべてが違う指紋になっています。
2つ目の原則は、指紋は生まれた時に決まっていてそれが一生変わることがないというものです。
子供から大人へと成長するにつれて当然指も大きくなりますが、指紋の大きさが変わることはあってもそのままの形で大きくなるので、指紋の模様自体が変わるわけではないのです。
指紋をよく見てみると、線と線の間の間隔が同じになっていてキレイな模様に見えますよね。指紋線の間隔は常に等しくなっているのです。
線と線の間隔が著しくバラバラになることも、指紋線が急激に細くなったり太くなったりすることもなく、きれいに整備されています。
指の皮がむけてしまったり、傷がついてしまったりしても、しばらくすると同じような指紋が作られていたという経験はないでしょうか。指紋はたとえ傷がついてしまったり皮がむけてしまったりしてもしばらくすると再生し、同じ紋様が自然に再生します。
ただし、表皮を破るほどの深い傷がつけられてしまった場合や、やけどなどで深い部分まで破壊された場合などは自然に指紋の模様が回復することが難しくなります。
ここからは多くの方が指紋鑑定について疑問に感じているであろう内容について詳しく解説していきます。
嫌がらせの手紙を受け取った場合、その内容からなんとなく犯人が想定できる場合もありますよね。
そんなときは、犯人と思われる相手に指紋がつきやすいものを渡して、指紋を採るのは非常に有効な方法です。その場合、ガラス製のグラスやコップ、プラスチック製のブラシやクリアファイルを渡すといいでしょう。なお、手渡すものは新品のものを使ってください。
指紋が付いている証拠をどのように取り扱えばいいのか迷ってしまう方も多いでしょう。自分が下手に触ってしまうとせっかくの証拠品が無意味になってしまっては困りますよね。
証拠品の取り扱いについては、紙製のものとそれ以外のものとで大きく変わってきます。紙製のものは、こすっても指紋が壊れないのでそのまま封筒に入れておいてOKです。
それ以外のガラスやプラスチック、陶器、ビニール、鉄類などの証拠品は、こすれると指紋が破壊されてしまうので、ジップロックなどに入れておき、できるだけ動かさないようにして下さい。
犯人の指紋が付着している所を触ってしまうと、指紋が重なって鑑定ができなくなってしまうので、できれば触れないようにしてもらいたいのですが、どうしても証拠品に触る場合には必ず手袋をして下さい。
指紋鑑定にかかる期間については、鑑定書の種類や仕上げ方によって変わってきます。
最も簡単な調査鑑定書の場合はおよそ2週間程度で、裁判提出用の鑑定の場合は、3週間ほどかかります。また、それ以上に精密な鑑定の場合は1ヶ月ほどかかる場合があります。
嫌がらせの手紙の被害を受けた際、監視カメラなどの対応策は個人でもできますが、指紋鑑定などで確実に犯人を特定するのは素人では不可能です。
また、指紋は取り扱いの方法を間違えてしまうと犯人の指紋の上から自分の指紋を乗せてしまったり、指紋がこすれて壊れてしまったりと取り扱いに注意を払う必要があります。
指紋鑑定は嫌がらせの犯人特定においてとても効力のある方法なので、鑑定を考えている方はできるだけ早く専門家に相談して鑑定を進めてもらうようにしてください。
また、指紋鑑定だけを行っている専門企業よりもその後の嫌がらせ対策や犯人との交渉も考えると探偵事務所や興信所に調査を依頼するのがお勧めです。
今の段階では嫌がらせの手紙で済んでいる被害も、今後嫌がらせがエスカレートする可能性は否定できませんので、被害が大きくなる前に探偵に相談しておくのが良いでしょう。専門家の力を借りながら、ご自身の安全を確実に確保しつつ嫌がらせに立ち向かってくださいね。