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社内いじめのパターンといじめが発覚した時に企業が取るべき対策

カテゴリ:職場

いじめは学校で起こるものというイメージがあるかもしれませんが、大人になってもいじめは起こっていて、特に職場でのいじめが近年問題視されています。

 

職場でいじめの被害を受けてしまうと、与えられた仕事をこなさなければいけない上に常にいじめの加害者と職場で顔を合わせなければいけないため、精神的なダメージを負う社員が増加してしまいます。

 

そして、近年は職場でいじめの被害を受けた社員が企業を訴えるケースが増加傾向にあるため、企業としてはリスクマネジメントの観点から社内のいじめ対策に積極的に取り組む必要性が強くなってきています。

 

そこで今回は、社内のいじめのよくあるパターンやいじめを放置することのリスク、そして社内いじめが起きていると発覚した時の対策について詳しく解説していきます。加えて、社内いじめが起こらないようにするための防止対策についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

社内いじめのよくあるパターン

仕事中にいじめを受けていると「これって仕事上仕方ないのかな・・・?」「これって・・・いじめ??」となかなか自分では判断できないこともあるでしょう。

 

周りから見ていても「厳しく指導しているだけなのかな?」と判断が難しいケースもあります。

 

そこで、まずは社内いじめのよくあるパターンをご紹介します。自分の会社で起こっている事と照らし合わせて客観的に認識することによって、対応策も考えやすくなるでしょう。

 

直接的に暴言や暴力をされる

最近の会社では減ってきてはいると思いますが、殴られたり、蹴られたり、提出した書類を「やり直せ!」と怒鳴られて書類を投げつけられたり、同僚たちの前で「無能だ」「バカだ」「女のくせに」などと暴言を吐かれたりするといういじめのパターンがあります。

 

これはわかりやすいいじめのパターンなので経営陣も気が付きやすいでしょう。

 

無視や仲間はずれにされる

職場で挨拶をしても無視される、自分がみんなの会話に入ろうとすると自然に解散されてしまう、上司に意見を言ってから自分だけ資料が配布されなくなった、自分にだけ重要な情報が回ってこない、コロナを理由に1人だけ別室で仕事をさせられる、会社の送別会や忘年会に1人だけ声をかけられない、などは立派な社内いじめと言えます。

 

これは本人以外の周りは気が付きにくいいじめですが、人事や経営陣がしっかりと社内を観察していれば何らかの兆候が見られるはずなのでこのパターンのいじめを察知できるようにすると良いでしょう。

 

ミスを必要以上に責められる

仕事でミスをしたら上司から注意されるのは当たり前のことですが、ミスに対する注意や指導も度が過ぎれば、社内いじめになり得ます。

 

このいじめは周りも本人も「ミスをしたんだから注意されて仕方ない」と理解してしまうため、本人すらいじめに気が付きにくくなってしまいます。

 

社内いじめだとわかったときにはすでに精神的に参ってしまって療養しなければいけなくなったり会社を辞めなければいけなくなったりしますので、できるだけ早く気が付いてあげて対処することが大切です。

 

無理難題な業務を押し付けられる

1日では到底できそうもない量の仕事を押し付けられたり、常に達成不可能なノルマを設定されたり、プライベートの予定があるとわかっているのに終業間際に過大な仕事を押しつけられたりするいじめもあります。

 

この手の社内いじめが厄介なのは、スパルタで仕事を教えているように周りに見られてしまうため、いじめの被害者だけが苦しい思いをして周りに理解してもらえないという点です。

 

このタイプだと、いじめの被害者が精神的に参ってしまうことが多く、精神病を発症してしまうリスクが高くなります。

 

ミスの濡れ衣を着せられる

上司が間違った指示を出しその通りに動いただけなのに、最終的なミスの責任を取らされて始末書を書かされてしまったり、他の人のミスなのに濡れ衣を着せられて社内の評判を落とされたりといういじめもあります。

 

せっかく頑張って仕事をしているのに社内いじめのせいでモチベーションが下がってしまい、業務効率が下がったり最悪の場合優秀な社員が辞めてしまったりするリスクにつながります。

 

プライベートに必要以上に干渉される

有給を取ろうとしたら執拗に理由を質問されたり、休みの次の日に恋人とのデートについてしつこく聞かれたり、毎日のように深夜まで飲み会に連れまわされたり、プライベートへの干渉が度を越しているのも立派な社内いじめと言えます。

 

上司からの質問には答えなければいけないし、上司から飲み会に誘われたらなかなか断れないため、いじめの被害者は多大なストレスを抱えてしまいます。

 

企業にとって社内のいじめを放っておくことのリスクとは

「会社は仕事をする場所なんだから社内のいじめになんてかまっていられない!」「社内にいじめがあるかどうかなんてわからない」と考える経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、社内いじめに気付かず社内いじめを放っておくことはとても危険です。

 

社内いじめを放っておくとどのようなリスクが出てくるか見ていきましょう。

 

いじめの被害者が精神疾患を発症するリスクが高い

正社員などフルタイムで働いている人にとって、家族や友達よりも職場の人と過ごす時間のほうが長いという人がほとんどでしょう。職場で過ごす時間は生活の中でかなり大きなウエイトを占めているのです。

 

学校でいじめを受けたら最悪の対処法として不登校でいじめから逃れることができますが、社内いじめの場合、会社に行かなくなってしまったらお金を稼げなくなってしまうので簡単にいじめの加害者と距離を置くことができません。

 

いじめから逃れるために転職する人もいますが、収入が下がったり転職活動に時間を割けなかったりという理由から我慢して耐え続ける方が多いのが実状です。

このように我慢し続けていじめに耐えていると、継続的に酷いストレスを感じ続けてしまうので、最終的にうつ病や不安障害、不眠などの精神疾患を発症するリスクが高まってしまいます。

 

うつ病や不安障害などの精神疾患を発症してしまうと、治療と休養に専念する期間が必要となり、優秀な社員を失ってしまうことになりかねません。

 

損害賠償請求をされる可能性がある

社内でいじめを受けた結果、うつ病などの精神疾患を発症した被害者が加害者や企業に対して損害賠償請求をする可能性もあります。企業に対しては使用者責任として管理能力がなかったとして損害賠償責任を問われるリスクがあるのです。いじめを受けた社員が名誉を傷つけられたとして名誉毀損で加害者を訴える可能性もあるでしょう。

 

また、社内いじめによるストレスが原因で精神疾患を発症した社員に対して、企業が適切な対応を取らなかったと判断されてしまうと、企業の義務を怠っているとしてその場合も損害賠償請求をされる可能性が高まります。

 

社内いじめの噂がSNSや掲示板などで広まる可能性がある

社内いじめの存在についていじめ被害者である社員が、SNSや就職サイトの口コミ欄に書き込むリスクも考えられます。

 

最近は企業の不祥事がSNSで広まって炎上トラブルになるケースも増えているため、特に注意が必要でしょう。

 

一度SNSやネット上で社内いじめのことが拡散されて炎上トラブルになってしまうと、半永久的にネット上に情報が残ってしまい、取引先からの信用を失ったり顧客が離れてしまったり、新規での採用が難しくなったりしてしまいます。

 

社内いじめを放っておかずにしっかりと対応していくこと、社内いじめを起こさせないように予防対策をしていくことが重要なのです。

 

社内いじめが起きていると発覚した時の対策

社内いじめが発覚した場合、企業としてどのように対策をしていけばいいのでしょうか。ここではいじめが発覚した際の適切な対応や対策について説明していきます。

 

いじめの事実確認を徹底する

社内でいじめが発覚した場合、まずは事実関係を確認しましょう。事実関係を正確に確認するためには、いじめの内容について被害者や周りの社員から詳しい話を聞く必要があります。

 

ただし、被害者の精神状態によってはいじめの状況を思い出すだけでパニックになってしまう可能性もあるので、精神状態に配慮しながらヒアリングを行っていくようにしてください。

 

また、事実関係を正確に把握するためには周りの社員にも話を聞く必要がありますが、被害者の情報が漏れないような配慮も徹底して行うようにしてください。

 

事実関係の調査の結果、いじめとは言えないような場合であっても相談してきた社員が納得できるような説明をしてあげることも大切です。そして、社内での人間関係を円滑にするために経営陣や人事部がサポートしてあげるようにしてください。

 

いじめの証拠を集める

社内いじめの事実確認を行い、いじめが起きていることが事実だと判明したら、いじめの証拠を集める段階に入ります。

 

いじめの加害者からのメールを印刷して証拠としたり、加害者の発言を録音したり、自分だけが資料が送られていないことがわかるように履歴を確認したりしてください。また、いじめを目撃した他の社員たちの聞き込み調査の結果も証拠として有効です。

 

なお、いじめの証拠集めについては専門の企業調査会社に依頼したほうがスムーズかつより正確な証拠が手に入るので調査会社への依頼も検討してみるといいでしょう。

 

いじめの加害者に対して適切な処分を検討する

いじめの事実確認が終わり、いじめの証拠も確保できたら次のステップとしていじめの加害者に対して必要な注意、指導などを行い改善できるようサポートしていきます。

 

過度な注意を行ったり暴言を吐いたりなどのパワハラの場合は、指導者としての熱意が行き過ぎてしまいいじめのような状態になってしまっている場合もあるので、必ず加害者も話を十分に聞き、両者の意見を客観的に判断しながら適切に注意や指導を行っていくように注意してください。

 

根気強く指導を行ってもいじめの改善がみられない場合は加害者に対して懲戒処分を検討します。ただ、いきなり懲戒処分を行うと逆に加害者から企業が訴えられてしまうリスクが出てきますので、必ず懲戒処分をする前に適切な指導や注意を欠かさないようにしてください。また、重すぎる処分の場合も会社が訴えられて不利になることがありますので、いじめの内容や被害の大きさに合った処分を選ぶことが重要です。

 

もし、懲戒処分でどの処分が適しているか判断が難しい場合は、企業法務に詳しい弁護士に相談しながら進めていくのがお勧めです。

 

社内いじめを防止するために会社が行うべき防止対策

社内いじめが起きてしまうと、社内の空気も悪くなりますし、社員が精神疾患を患って退職してしまうリスクが出てきますし、SNSで社内いじめの事実が拡散されて炎上トラブルになるリスクもありますので、できれば未然に防ぎたいところです。

 

この章では、社内いじめを未然に防止するためにどのような対策を取っていくべきかについて解説していきます。

 

経営陣に社内いじめを許さない意識を持ってもらう

社内いじめを未然に防止するためには、経営陣が些細ないじめも許さない、見て見ぬふりはしない、という意識を持つことが大切です。

 

経営陣全員が社内いじめをなくし、全社員の人間性を尊重しようとする意識を持っていれば、それが他の社員にも伝わり、「いじめを起こさせない」「いじめを見て見ぬふりしない」という意識が高まっていき、いじめ防止につながります。

 

就業規則や懲戒規定を見直す

就業規則や懲戒規定を見直し、それを全社員に周知することも社内いじめを防止するうえでとても有効な対策です。

 

就業規則や懲戒規定に、万が一社内でいじめが発生した場合、いじめの加害者にどのような処分があるのかを明記しその内容をしっかりと全社員に周知することでいじめの抑止につながるでしょう。

 

懲戒規定については一度だけ説明するのではなく、会議や社内研修などのタイミングで定期的に説明して周知を徹底していくとより社内いじめの防止につながります。

 

社内いじめの相談窓口を設置する

社内いじめを受けて悩んでいたり、周りの社員がいじめに気が付いたりしても、相談窓口がないとなかなかいじめが発覚せず、被害が大きくなってしまう可能性が高くなります。

 

社内いじめを早期発見し、早期に対応していくためにはいじめの被害を受けた、もしくは周りでいじめが起きていることに気づいた際に気軽に相談できる窓口を設置し、その存在を周知することが大切です。

 

相談窓口についての周知を行う際は、プライバシーは確実に保護されることや、相談したことを理由に異動されたり解雇されたりすることはないことを伝え、安心して相談できるように配慮することも重要です。

 

相談窓口は社内の人事部などで設置してもいいですが、社外の法律事務所や調査会社に依頼して設置したほうが、プライバシーが守られるような印象を持ちやすいのでいじめの被害者が相談しやすいというメリットがあります。

 

また、法律事務所に相談窓口を設置すれば、いじめの加害者に対しての処分についての相談もできますし、調査会社に設置すればいじめの証拠収集のための調査依頼もできるので一石二鳥です。

 

まとめ

今回は、社内いじめのパターンや社内いじめを放置するリスク、そしていじめが発覚したときに取るべき対策や防止策について解説してきましたが、参考になりましたでしょうか。

 

社内いじめについてはリスクマネジメントの観点から企業が積極的に取り組むべき課題であると言えます。社内いじめを放置してさらなるトラブルに発展しないよう適切に対処していきましょう。

 

万が一社内いじめが起きてしまった場合の事実確認の調査や証拠収集については、当事務所でも実績がございますのでお気軽にご相談いただければと思います。