カテゴリ:誹謗中傷
今やあらゆる人がインターネットやSNSを利用しています。企業もSNSアカウントを運用していたり、インターネットで広告を打ったりしてネット上でのマーケティングを進めている企業も増えていますが、インターネットやSNSには「誹謗中傷」という大きなリスクが潜んでいることも忘れてはいけません。
一度インターネットで誹謗中傷を受けてしまうと、あっという間に誹謗中傷が拡散されてしまい企業として大きなダメージを受けることになってしまいます。
そこで今回は、企業が誹謗中傷を受けてしまうとどのようなリスクが考えられるのか、誹謗中傷を受けてしまったらどのように対応していけばいいのか、誹謗中傷を受けないために普段からできることはあるのか、について詳しく解説していきます。
誹謗中傷が社会問題としてニュースで取り上げられるものの多くは、芸能人やモデルなど個人を対象にしたものですが、個人だけでなく企業が誹謗中傷のターゲットにされるケースも増えてきています。
ここでは実際に企業が受けた誹謗中傷の事例について見ていきましょう。
「●●会社はブラック企業だ」
「〇〇会社はサービス残業ばかりさせて残業代を払っていない」
「△△店のラーメンのスープには虫が入っている」
「▲▲会社のカスタマーサポートは対応が雑だから使わないほうがいい」
など、企業活動への誹謗中傷を受けるケースです。もちろん、事実が指摘されているケースもありますが、不確かな情報があたかも事実であるかのように出回り、誹謗中傷が拡散されて炎上につながることもあります。
「●●会社の社長は昔、窃盗の罪を犯している」
「〇〇会社の社長は秘書と不倫している」
「▲▲店の店長がコロナにかかっていたからその店でコロナが流行った」
など、企業が直接誹謗中傷されるのではなく、企業に所属している社員や店長が誹謗中傷の対象となり、結果として企業に不利益をもたらす事例です。
個人がSNSで自分の過去や行動を投稿していることも多く、ネット上で個人を特定することもできる時代になってきています。社長や店長など立場のある人だけでなく、一社員のSNSでの行動が問題視され、SNSの投稿から所属企業が特定されて企業が誹謗中傷を受けるケースも存在します。
インターネットで誹謗中傷を受けることは珍しくなく「少しネットで悪口を書かれたくらいで騒いでどうする!」と誹謗中傷を受けることを重大視していない経営者の方も少なくありません。
しかし、企業が誹謗中傷を受けてしまうと、想像以上にリスクが大きく、最悪の場合、企業の存続にかかわってくる可能性があるという事実をしっかりと把握しておくことが重要です。
この章では、誹謗中傷を受けたらどうなってしまう可能性があるのか具体的なリスクについて見ていきましょう。
誹謗中傷の投稿を目にした人が会社の商品やサービスの購入を控えた結果、売上悪化につながることが考えられます。
また、誹謗中傷の内容が真実かどうかは別として、社会的信用が落ちてしまうことは避けられず、長期に渡って顧客が離れてしまうことで深刻な影響が出てしまうでしょう。
ホテルや飲食店の場合は書き入れ時に一気に予約のキャンセルが相次ぐこともあり、倒産の危機に追い込まれてしまうリスクさえあります。
企業への誹謗中傷の投稿を目にした取引先から、取引を断られるケースも考えられます。
「ネットで騒がれている会社と取引していることが周りに知られたら、うちの会社もダメージを受けるから取引を解消したい」と申し出てくる取引先もいるでしょう。
どの会社も自分の会社のことで精一杯のため、誹謗中傷されている会社と関係があることを隠したい、関係を断ち切りたいと考えてしまうのも無理のないことかもしれません。
企業についての誹謗中傷が社内に知れ渡ると、社員たちのモチベーションの低下は著しく、避けることはできないでしょう。
モチベーションが下がれば当然、業務効率も下がってしまいますし、誹謗中傷を受けている会社に所属していることで周りから非難されるのではないかと考え、優秀な社員が会社を去ることを考えてしまうかもしれません。
優秀な社員を失ってしまうことはさらなる業績悪化を招いてしまうため、企業としてはかなり深刻なリスクと言えます。
現在所属している社員が会社を辞めてしまうリスクに加えて、新たに採用することが難しくなるリスクもあります。
企業の誹謗中傷が書き込まれるのはSNSだけでなく、転職の口コミサイトや就職サイトなどに企業への誹謗中傷が書き込まれることも多く、採用活動に直接的な大ダメージを与えてしまうことも問題となっています。
新しく優秀な人材を確保できなければ会社が発展することも難しくなるため企業にとってはリスクとなります。
以上のように、誹謗中傷が企業にもたらすリスクは計り知れないものがあり、最悪の場合、倒産や閉店の危機が訪れることも珍しくありません。
誹謗中傷の影響は顧客が離れていくだけでなく、取引先や企業の社員たちも離れていってしまう可能性もありますし、銀行からの融資を断られるケースもあります。
一度墜落した社会的信用を取り戻すのは決して簡単ではなく、それに伴う影響も大きくなってしまいます。取り返しのつかない状況にならないよう、誹謗中傷をそのまま放っておくのではなく適切に対応していかなければならないのです。
インターネットやSNSで自分の会社が誹謗中傷を受けているとわかったら動揺してしまうかもしれませんが、適切に対応していかなければさらなるトラブルを招いてしまう可能性もあります。
この章では、万が一企業が誹謗中傷を受けてしまった際に取るべき対応についてお伝えしていきます。
ネット掲示板や転職・就職口コミサイトなどで誹謗中傷を書き込まれた場合の対応として、サイト運営者に対して削除を求めることが考えられます。
サイト内に設置された問合せフォームから、削除を求める投稿と削除を求める理由などを記載して削除してもらうように求めましょう。ただし、サイト運営者によっては削除依頼に厳格な要件を指定していて、要件に沿っていない場合は削除依頼を無視されてしまう場合もあります。その場合は次にご紹介するよう弁護士に依頼しましょう。
なお、誹謗中傷の内容がSNSなどで拡散されてしまって炎上トラブルに発展してしまった場合は、むやみに削除するとかえって大きなトラブルになる可能性があります。炎上トラブルに発展している場合は、後にご紹介するように公式アカウントやホームページで対応してから削除依頼するようにしてください。
自社内でサイト運営者に削除依頼をしても無視されてしまった場合は、弁護士に削除要請を依頼する方法もあります。
自社で依頼して無視されたとしても、弁護士を通じて削除依頼をすると与えるプレッシャーは格段に違いますので、サイト運営者によっては弁護士からの削除依頼にはあっさり応じてくれるケースも少なくありません。
また、サイト運営者によっては弁護士を通じて削除請求をした場合にのみ削除対応をするところもありますので、最初から弁護士に依頼したほうがスムーズかもしれません。
誹謗中傷の内容を削除するという対応ももちろん大切なのですが、SNSなどで拡散されてしまい炎上トラブルに発展している場合はむやみに削除するのは得策ではありません。
「投稿を削除したということは事実だからだ」と逆にユーザーを煽ってしまう可能性もあるからです。
炎上してしまっている場合は、まず、誹謗中傷の内容が事実なのかどうか、なぜそのような内容が出回っているのかの事実確認を行いましょう。そして、事実である場合は謝罪をし、事実でない場合は根拠も含めてしっかりと説明できるようにしておきます。
そして、SNSの公式アカウントや公式ホームページで謝罪なり説明なりをしっかりと行うことで炎上を抑え対応していくようにしてください。この場合、事実確認の調査を素人が迅速に行うのが難しそうな場合は企業調査を担当している探偵に調査を依頼したほうがスムーズに対応できます。
企業が誹謗中傷を受けた場合、問題の投稿を削除するだけでなく、発信者情報開示請求という方法を使って投稿者を特定するという対応も考えられます。
発信者情報開示請求では、投稿者の氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの情報が入手できます。さらに、探偵に嫌がらせ調査を依頼すれば、投稿者の勤務先や普段の行動についての情報も入手できるでしょう。
これらの情報があれば、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置を取ることも可能になります。ただし、発信者情報開示請求の手続きは非常に煩雑で手間もかかるため、弁護士に依頼して進めてもらうのがお勧めです。
参考記事:発信者情報開示請求して誹謗中傷投稿者を特定しよう!流れとポイント
発信者情報開示請求で誹謗中傷を行った犯人が分かれば、損害賠償請求や刑事告訴をすることも可能になります。
法的措置を取るというと大げさなように思えますが、損害賠償請求や刑事告訴を行うことで、誹謗中傷の嫌がらせの再発防止につながるでしょう。
なお、損害賠償請求の金額は受けた被害額に応じて決まってくるため、被害状況の調査についても探偵に依頼して進めておくことが重要です。
企業が誹謗中傷を受けることには大きなリスクがあることは今回の記事でご理解いただけたかと思います。
「ネットで悪口を言われただけだから気にしなくてもいい」と軽く考えず、できるだけ早く適切に対応していくことが必要です。
また、誹謗中傷を受けないように、普段から情報発信をしていく際の表現の仕方やマーケティングの仕方を見直し、社内教育で徹底していくなどの予防策も重要です。
多くの人が企業に対してネガティブな印象を持たないよう、SNSでの発言やオンライン、オフラインでの情報の見せ方を今一度考えなおしてみるのもいいでしょう。