カテゴリ:嫌がらせ
アパートやマンションにおいて、近隣住民との間で騒音トラブルをめぐって事件などが起こり警察沙汰にまで発展するケースは少なくありません。
騒音の嫌がらせに耐えられず精神的に病んでしまう人や身体的に支障が出てきてしまう人もいらっしゃいます。
騒音の嫌がらせが自分の周りで起こったらどのように対処していけばいいのでしょう。また、警察はすぐに対応してくれるのでしょうか。
今回は、騒音の嫌がらせがどのような罪に問えるのか、警察に騒音の嫌がらせについて被害届を出す方法、そして警察に相談してすぐに対応してもらうためのポイントについて解説していきます。
また、もし警察が騒音トラブルで動いてくれない場合の他の相談先についてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
騒音による嫌がらせを警察に訴えていく前に騒音の「受忍限度」について確認しておきましょう。受忍限度とは、社会生活・日常生活を営む上で、騒音や振動など程度が一般的に我慢できるとされる音量範囲のことをいいます。
もし、あなた自身が騒音の嫌がらせを受けていると思っても、この受忍限度の基準音量を超えていなかった場合、裁判で訴えたとしても「騒音被害」として認められる可能性はかなり低くなってしまいます。
では、一般的に我慢できるとされる音量範囲、受忍限度とはどのくらいなのでしょう。
住宅地でのおおよその数値は
6時~22時の日中 =50~55dB
22時~6時の夜間 =40~45dB
とされています。
単位はデシベルです。単に数値を言われてもイメージしにくいと思いますが、目安としては、図書館の中が40dBくらい、比較的静かな事務所で50dBくらいと考えていただければと思います。
続いては主な生活音の音量のデシベルについても見ていきましょう。
・エアコン 41~59dB
・洗濯機 64~72dB
・掃除機 60~76dB
・ピアノ 80~90dB
・テレビ 57~72dB
・犬の鳴き声 90~100dB
・子どもの駆け足 50~66dB
・車のアイドリング 63~75dB
・人の話し声(日常) 50~61dB
参照リンク:生活騒音の現状と今後の課題
参照リンク:生活騒音|環境庁
これらの音量はそのものの音量数値であり、マンションやアパートの壁の質によってだいぶ抑えられますので、あくまでも目安と考えてください。
先ほどの受忍限度と見比べると、夜間に洗濯や掃除機をかけることやピアノなどの楽器を演奏することは騒音として認定される恐れがあることがわかるでしょう。
騒音の嫌がらせを訴えるのには証拠が必要となり、簡単なことではありませんが、騒音の大きさや時間帯や頻度、そして騒音の嫌がらせによって受けた被害状況を証明できる証拠があれば、以下のような刑事罰に問うことができる可能性があります。
暴行罪とは、故意に暴行を加えた加害者が、人を傷害するに至らなかった場合に成立する犯罪です。
暴行というと殴ったり蹴ったりという行為をイメージすると思いますが、騒音によって人の心身に攻撃を加える行為も暴行に含まれる場合があります。
例えば、あまりの騒音によって相手の頭脳の感覚を鈍らせ、意識をもうろうとさせるなど、かなり悪質なケースで成立する刑罰です。
傷害罪は、故意の傷害行為によって人を傷害し、傷害行為と傷害結果に因果関係が認められた場合に成立する犯罪です。
傷害とは外的に見てわかるような傷だけではなく、精神障害を生じさせた場合も含まれます。そのため、騒音の嫌がらせによって慢性頭痛症や睡眠障害などを生じさせた場合にも成立します。
軽犯罪法とは、日常生活上の軽微な秩序違反行為を取り締まる法律で、これに違反していることに対して訴えることもできます。公務員が制止したにもかかわらず騒音を異常に大きく出して近隣住民の静穏を害し、近隣に迷惑をかけた場合に成立する犯罪です。
騒音の嫌がらせに耐え兼ねないと感じたら、迷わず警察に相談しに行くのがいいでしょう。警察に相談しに行く際は被害届を出しておくことが大切です。
被害届は、警察に被害状況を訴えるために提出し、犯罪の捜査を実施してもらうために必要な書類です。これが受理されれば、今後新たに問題が発生した場合にも通報しやすくなります。
被害届には以下に示す項目について記入する必要があるので、前もって整理しておくとスムーズです。
・被害者の氏名、住所、年齢、職業
・被害を受けた年月日時
・被害を受けた場所
・被害の状況
・犯人の氏名、住所、見た目の特徴など(近隣の住人なのでわかる範囲で詳しく)
騒音の嫌がらせにを受けた際、警察に被害届を提出することは大切なことではありますが、警察がすぐに動いて捜査などの対応をしてくれるかというと実際はそうではありません。
警察は事件性、もしくは事件が起こる可能性がないと動けないからです。騒音被害で被害届を受理してもらうのは簡単な事ではなく、ポイントを押さえておくことが重要になります。
警察に被害届を受理してもらいこちらが望むような対応をしてもらうためには、「事件性」を理解してもらうことがポイントになります。
騒音の嫌がらせをめぐって近隣住民との間ですでにトラブルが起きていて、身の危険を感じるような事態になっていることを証明できれば刑事事件として取り扱ってもらえます。
また、騒音の音量が受忍限度を明らかに超えていることを証明できれば迷惑行為にあたりますので条例違反として罰してもらうことができます。
いずれにしても、事件性や音量範囲についての明確な証拠を集めておくことが警察を動かす上で重要になります。
警察に騒音の嫌がらせの相談をしても積極的に動いてくれなかったり、被害届を受理してもらえなかったりしたらどこに相談すればいいのでしょう。
マンションやアパートでの騒音トラブルに悩む場合は、管理会社に相談してみるのも効果的です。
管理会社があなたが通報したことを隠してもらって騒音トラブルを起こしている加害者住民に直接注意してくれることが期待できます。
自治体に相談するという方法もあります。各自治体によっては、日常生活に関する騒音トラブルや近隣トラブルについての悩みを受け付けている窓口を設置しているところもあります。
ご自身のお住いの地域の相談窓口に一度問い合わせてみましょう。
参考リンク:公害でお困りのときは公害相談窓口へ|総務省
警察に相談しても動いてもらえず、管理会社に相談して直接注意してもらっても相手が騒音を辞めてくれなかったという場合などは、最終手段として弁護士に相談する方法があります。
弁護士に相談することで法的措置を取りやすくなるため、トラブルの沈静化がスムーズにできるようになるでしょう。ただ、弁護士に依頼するとなるとお金がかかってしまうのが心配ですよね。
そういうときは法テラスを利用するという選択肢もあります。法テラスは、必要に応じた法律関係の情報を提供してくれたり、経済的に余裕がない場合の無料相談を行ってくれたり、費用の立替をしてくれたりする機関ですので、適宜活用するといいでしょう。
参考リンク:法テラス
騒音の嫌がらせに対して再発しないようしっかりと対処していこうと考えると、どうしても警察や弁護士などに介入してもらって法的に対処する必要がでてきます。
そして、その際には騒音の被害を受けているという明確な証拠が必要になります。騒音の嫌がらせはどのように状況を証明し、どのような証拠を取ればいいのでしょうか。
騒音を録音して証拠を取ろう!と考える人も多いのですが残念ながらこれは証拠になりません。再生した時の音量と実際の音量が同じとは言い切れないからです。
騒音の被害を証明するためには、騒音計で音量を計測し、証拠とする必要があります。騒音計での測定であれば騒音の数値化と日時、場所など誰から見ても騒音被害の発生していることを証明できます。
この測定については、素人が行っても法的に有効な証拠として押さえられるかが難しいので、プロの探偵に測定調査を依頼したほうが確実です。
騒音計での測定に加えて、騒音の嫌がらせを受けた日時や頻度、どれくらいの時間騒音が続くのかを日記として記録しておくことも有効です。
近隣住民で同じように騒音の嫌がらせ被害に遭っている人がいるようであれば、その人たちから証言を取っておくことも、訴訟になったときに役に立つ可能性があります。
証言は録音してデータとして残しておくのがいいですね。
騒音の嫌がらせによってうつ病を発症してしまった、睡眠障害になった、慢性的頭痛が出てきたなどの精神的・身体的な病状がでている場合は、病院で診断書をもらっておくことも重要です。
騒音の加害者に対して慰謝料請求する場合、特にこの診断書が役に立ちます。
騒音による嫌がらせをやめさせるには、警察への相談や弁護士への相談が必要になるケースが多いのですが、いずれにしても、被害状況を立証できる証拠を持っているかどうかで対応の結果が大きく変わってきます。
また、トラブルを放置すればするほど、傷害事件などの大きな事件に発展してしまうリスクが高くなります。
当事務所では騒音の嫌がらせ被害などの嫌がらせ調査に力を入れており、無料相談も実施しています。ご近所での騒音被害に悩まれている方は、対処法の相談も含めて一度お気軽にご相談いただければ幸いです。