カテゴリ:怪文書
何者かによって怪文書や嫌がらせの手紙が送られるという被害を受けた経験がある方もいらっしゃると思いますが、最近、「自分ではない誰かが自分になりすまして別の人に怪文書を送っていたようだ」というご相談を受けることがあります。
怪文書を送られること自体も迷惑ですし気味が悪いですが、自分になりすました人物が他の誰かに怪文書を送っているとなると、さらに厄介ですよね。
自分の知らない間に周りからの信用が落ちてしまいますし、自分は何も悪いことをしていないのに怪文書を送られた人から恨まれたり怒りを買っていたりすることになります。
なりすまし被害は、できるだけ早く解決して自分の身の潔白を証明していかなければ、あなたが「怪文書を送った犯人」だと周りに思われてしまっているので、二次被害がどんどん起きてしまいます。
今回の記事では、なりすまし攻撃についての手口や概要、なりすましをする犯人の目的、なりすまされたことを放っておくことで起こりうる被害について解説していきます。また、自分が怪文書を送った犯人ではないという身の潔白を証明するための方法についてもお伝えしていきます。
怪文書のなりすまし問題はかなり厄介で深刻な問題ですので、お一人で抱え込むことなく、専門家にご相談ください。
なりすましとは、第三者が他人になりすまして行動する行為を言います。なりすまし攻撃には、主にオフラインでの怪文書のなりすましと、オンライン上でのなりすましと2種類あります。
オンライン上でのなりすましは、本来のユーザーになりすましてネットの口座などに不正にログインをし、勝手に送金されるなどの金銭的な被害などを及ぼすものや、SNSなどで実在する他のユーザーと同名のアカウントを作り、そのユーザーになりすまして発言をしたり誰かにメッセージを送ったりするものがあります。
オフラインでの怪文書のなりすましは、あたかも別の誰かが送っているように偽装して怪文書を送り付け、怪文書を送った相手だけでなくなりすました相手も攻撃する悪質な手口です。
近年はSNSの普及により、インターネット上のつながりがメインになりつつある人たちも増えているため、リアルな世界での友人関係や人間関係はとても貴重なものになっています。そのような状況で、怪文書のなりすましをされてしまうと、貴重な人間関係を壊されてしまう危険性があり、決して許すことのできない犯罪行為と言えるでしょう。
なりすまし攻撃にはいろいろと手口がありますが、なりすまして怪文書を送ってくる場合、犯人にはどのような目的があるのでしょう。また、どのような人物が犯人である可能性が高いのでしょう。
ここでは、理解していただきやすいように、これまでにご相談いただいた案件の中から1つ事例をご紹介し、ご説明していきます。
「Aさんはママ友のBさんと、もともと仲が良く、子育ての相談をしたり、他の数人のママ友も含めてよくランチ会をしたりして交友を深めていました。しかし、子どもの中学校のお受験が近づくにつれて塾の送り迎えや身の回りの世話などが忙しくなり、ママ友同士の付き合いも少なくなっていきました。
ある日、ママ友のBさんのお子さんが全国模試でトップクラスの成績を取ったことを知り、Aさんは自分の子供はなかなか成績が伸び悩んでいたので、悔しいながらもおめでとうというメールを送りました。すると、Bさんからの返信は思いもかけないもので『連絡してこないでください。』と一言だけ返信が来ました。
Aさんは訳も分からず悩んでいましたが、ママ友のCさんに相談すると、Bさんが怒っている理由を知ることになります。Cさんからは『Bさんから聞いたけど、あなた、Bさんに嫌がらせの怪文書を送ったんでしょ。Bさんが怒るのも無理ないと思う』と言われ、自分がBさんに嫌がらせの手紙を送っていたことになっていたのです。
Aさんは全く身に覚えもありませんでしたが、Cさんを始め、他のママ友たちの間にもAさんが怪文書を送ったことが広まってしまっており、Aさんはママ友たちの集まりにも行くことができなくなってしまい、Bさんとはもともと仲が良かったのに、当然のことながら疎遠になってしまいました。Aさんは複数のママ友を同時に失ってしまったのです。
Aさんはどうしても怪文書でなりすました犯人を知りたいと思い、嫌がらせ調査に定評のある当事務所にご相談にいらっしゃり、調査を開始しました。すると、なんとママ友同士だったはずのCさんがAさんになりすまして怪文書をBさんに送り付けていたのです。
動機を調べていくと、Cさんは、子供の成績が良かったBさんに恨みや妬みを持っているとともに、自分には仲の良いママ友がいないことを悩んでいました。そのため、Aさんを犯人扱いして周りから孤立させ、慰めるふりをして仲良くなろうと目論んでいたのです。」
これは、数あるご相談事例の中の1例ですが、この例を参考に犯人がなりすましを行う目的や犯人の可能性のある人物について考えていきましょう。
怪文書のなりすましをする犯人の第一目的は、怪文書を送る相手を攻撃したいということです。
自分ではない誰かになりすますわけですから、自分が罪を被ることなく誹謗中傷や悪口を書き連ねることができます。
「自分が書いたとバレることはない」という安心感から、酷い言葉を書き連ねて攻撃をするでしょう。
犯人の第二の目的は、なりすました相手の信用を落としたいというものです。
もし、あなたの周りで怪文書を送っているという人物がいれば、その人のことを信用できなくなりますよね。怪文書を送るような人が会社にいれば、その人は会社での信用を失い同僚からも上司からも信頼されなくなるでしょう。
なりすましをする犯人は、怪文書を送る相手だけでなく、なりすました相手も同時に攻撃したいという目的を持っているのです。
怪文書のなりすましをする犯人は、送った相手となりすました相手の仲を悪くしたいという目的を持っている場合もあります。
怪文書を送られた被害者としては、送ってきた人物が判明したらその人への信頼は無くなりますし、二度と関わりたくないと思いますよね。巧妙になりすましているのであれば、なりすまされた人から怪文書が送られたと信じてしまいますので、2人の仲は確実に壊れてしまうでしょう。
犯人はそれも目的としている可能性があるのです。
ここまでお読みいただいておわかりいただけるように、怪文書のなりすまし攻撃をしている犯人は、怪文書を送られた被害者となりすまされた被害者とどちらも関係のある人物であることが予想されます。
別人になりすますためには、その人のことを理解していなければその人物に似せて怪文書を送ることができないからです。
実際、当事務所で調査を行った先ほどの事例でも、犯人はAさんともBさんともかかわりのある人物のCさんでした。
自分になりすまされて怪文書を送られていたことがわかったすぐは、ショックから冷静に考えることができなくなってしまうと思いますが、一度冷静に考えてみて、自分と怪文書を送られた被害者とどちらとも関係があり、二人に対して恨みを持っていそうな人物をピックアップしてみると、問題の解決に近づくことができるはずです。
何者かによって勝手に自分になりすまされて怪文書を送られたとわかったら、とても不愉快ですし、腹も立つと思います。
しかし、中には「実害を受けているわけではないし、放っておこう」「たかが怪文書だし大した問題ではないからそこまで騒ぐ必要はない」と軽く考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。
自分が怪文書を送られるという被害を受けた場合も放っておくことは危険ですが、自分が怪文書を送ったかのようになりすまされる被害を放っておくこともかなり危険です。ここでは、なりすまされた場合に考えられる被害についても確認していきましょう。
先ほども触れましたが、なりすましをされているということは、周りの人たちは「あなたが」怪文書を送った犯人だと勘違いしています。
一度あなたが犯人だと思い込んでしまうと、周りの人たちの疑いの気持ちを無くすのは至難の業です。当然、あなたへの信用はなくなってしまいますし、友達である人たちも離れていってしまうでしょう。
なりすましを放っておいてしまうと、友人も失い、家族からも信頼されなくなり、仕事でも信用されなくなってしまう恐れがあるのです。
当然と言えば当然ですが、怪文書を送られた被害者の人とは険悪になってしまいます。あなたと被害者の人を引き裂くというのも犯人の目的の一つなのです。
いくらあなたが弁解しても、被害者の人はあなたが怪文書を送り付けた犯人だと思い込んでいるので、そう簡単には信じてもらえないでしょう。
その相手がもともと仲が良かったり、大切な存在であったりした場合、二度と仲が戻らなくなってしまうのは相当大きな被害だと言えます。
怪文書はただの嫌がらせではなく、立派な犯罪です。そのため、条件が揃えば犯罪として立件されるケースもあります。怪文書を送られた被害者があなたを犯人だと思い込んで訴えてしまうと、あなたが真犯人の代わりに罪に問われる恐れもあるのです。
怪文書の刑事罰としては、怪文書に書かれた内容によって以下の犯罪が該当します。
・名誉棄損罪
・侮辱罪
・脅迫罪
刑事罰に当てはまらなかったとしても、民事責任として損害賠償請求や慰謝料請求をされる恐れもあります。怪文書を送られた被害者の身になればこのように訴えたくなるのもわかりますが、本当の犯人は自分ではないことを証明しなければ、あなたが罪に問われるという危険性が出てきてしまうのです。
自分は怪文書を送っていないのに、自分の知らないところで犯人扱いされて信用を失ってしまっているのは耐えられないですよね。まして、真犯人の代わりに刑事罰や民事責任を追及されてしまうのは、たまったものではないはずです。
「自分は犯人じゃない」「怪文書なんて送っていない!」ということをはっきりと証明しなければ、人間関係も壊れてしまいますし、社会的な信用を失ってしまう恐れもあります。
では、どうすれば身の潔白を証明できるのでしょうか。
怪文書を送った犯人ではないことを証明するために有効な方法として「指紋鑑定」という方法があります。指紋鑑定は通常、怪文書を送ってきた犯人を特定するために用いる手法として有名ですが、逆に犯人ではないということを証明するときにも使える手法なのです。
先ほど、指紋鑑定を使って身の潔白を証明することができるということをお伝えしましたが、ここでは指紋鑑定について具体的に方法や手順などを見ていきましょう。
怪文書は、作成する過程で犯人の指紋が怪文書や封筒、切手などに付着する可能性が高いです。そのため、怪文書に残された指紋を検出し、その指紋とあなたの指紋を照合し、不合致ということを証明できれば、あなたが怪文書を送った犯人ではないことを証明することができます。
合わせて、犯人の可能性がある人物の想定ができていれば、その人物の指紋と怪文書に残されている指紋を照合し、真犯人を突き止めることも可能になるのです。
指紋鑑定を活用して身の潔白を証明するための流れとしては、以下のようになります。
1,送られた怪文書に自分の指紋が付かないよう、手袋をするなどして注意しながらビニール袋などに入れ、鑑定を依頼する
↓
2,自分の指紋を採取してもらう
↓
3,怪文書から検出した指紋と自分の指紋を照合してもらい、不合致であることの証明書をもらう
かなり簡略化してまとめましたが、指紋鑑定でなりすまし被害を解決する流れはこのようになります。ステップ2の段階で、真犯人の可能性がある人物がある程度想定できている場合は、その人物の指紋も採取できればステップ3で真犯人として特定できる可能性もあります。
なお、指紋鑑定というと警察を思い浮かべる方が多いかと思いますが、実際には警察は怪文書トラブルでは指紋鑑定を行ってくれることはほぼないと考えていいでしょう。そのため、指紋鑑定を行っている探偵事務所や専門の業者に依頼することになります。
探偵事務所であれば、指紋鑑定で身の潔白を証明するだけでなく、嫌がらせ調査を行うことで真犯人を突き止め、根本的な問題の解決まで導いてくれることが期待できます。
今回は、怪文書トラブルの中でも「なりすましの怪文書トラブル」について詳しく解説してきました。
怪文書を送られる被害だけでも悩ましいのに、なりすましをされてしまうとかなり問題が厄介になります。何者かになりすまされて怪文書を送った犯人にされてしまったら、できるだけ早く対処して身の潔白を証明していくことが重要です。
今回ご紹介した指紋鑑定という方法を使えば、身の潔白を証明でき、信頼を取り戻すことができるでしょう。さらに、探偵に調査を依頼すれば、身の潔白の証明とともに真犯人を特定することもできますので、問題の根本的な解決を期待することができます。