怪文書でお困りの方、犯人を特定されたい方向けの対策方法をお教えします

怪文書コラム
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「子会社が不正している」という告発文が届いた!どう対処したらいい?

カテゴリ:怪文書 職場

「怪文書」と聞くと、自分に恨みや妬みを持っている人が嫌がらせのために送るものというイメージがありますよね。

 

実際、怪文書の多くは恨みや妬みが根本にあります。

 

怪文書には大きく分けて3種類あり、あなたを妬んだ人が書く誹謗中傷タイプと、ストーカーのような存在が書く脅迫文タイプ、そして会社を陥れようとしたり上司の悪事を暴こうとしたりする告発文タイプがあります。

 

告発文のような怪文書が会社に送られてきた場合、対応に困ってしまうかと思いますが、送った本人がどのような意図で送ったにせよ、告発文を放置することは最も危険な対処法です。

 

もしあなたの会社に告発文が送られてきたら、正しく対処していくことが会社や社員たちを守ることにつながるでしょう。

 

今回は、告発文の中でも「子会社が不正をしている」という内容が書かれたものが送られたケースについて詳しく見ていきたいと思います。今現在、子会社を抱えている経営者の方も、今後子会社を作っていくことを検討されている経営者の方も、子会社の不正については注意深く対応していかなければならない問題の一つですので、ぜひ参考にしてみてください。

 

子会社の不正を知るきっかけは告発文であることがほとんど

子会社における不正としては、売り上げの着服や粉飾決算などの不正会計、キックバックの受領などが多いのですが、その不正行為を親会社が知るきっかけとなるのは、内部の従業員から告発文を受け取ったり内部通報を受けたりするケースがほとんどです。

 

このような金銭的な不正行為は、内部にいる人物しか気がつけないことが多いため、当然と言えば当然かもしれません。

 

子会社での不正行為はどれだけ対策をしていても完全にゼロにすることは難しいため、少しでも早く不正を発見できるような仕組みを整えることが重要で、子会社の従業員が親会社に対して内部通報しやすい環境を整えておくことが不正防止につながると言えそうです。

 

また、告発文を受け取った際に親会社がきちんとした対応を取っておけば、今後子会社で不正が再び起こった際も発見を早め、被害の拡大を抑えることができるでしょう。

 

新型コロナウイルスの影響で子会社の不正が増えている!?

新型コロナウイルスと子会社の不正はどう関係しているのだ!?と思うかもしれませんが、子会社の不正に関わらず、あらゆる不正とコロナは何かと関連があるようです。

 

新型コロナウイルスは、2020年から流行が始まり、またたく間に世界中に広がりました。そして世界的に経済環境の悪化をもたらし、いまだに先行きが不透明な状況が続いています。

 

新型コロナウイルスの影響によって企業の業績や資金繰りが悪化している企業も多く、倒産リスクや業績の悪化を隠したいという気持ちが不正のリスクを高めているともいえるのです。

 

もちろん、これは子会社においても同じで、子会社の経営幹部らが親会社に業績を実態よりも良く見せたいと考え、実体のない多額の売上を計上して不正を行ったり、原価を棚卸資産に付け替えて売上や利益目標を達成したように見せかけたりなどの不正を働くリスクは大いに考えられるのです。

 

いくら信頼できる相手に子会社の社長を任せていたとしてもコロナによる不景気の影響は計り知れず、いつ子会社が親会社を裏切って不正を行うのか誰もが予測不可能な状況になっていると考えたほうが良いでしょう。

 

発覚した会社の不正のうち45%が子会社での不正という事実

続いては、KPMGというコンサルティング会社が行った不正に関する調査について見ていきましょう。そのコンサルティング会社が行った調査は、上場企業に対して、直近3年間を対象に「過去3年間にグループ会社で不正が発生したか?」という内容の調査です。

 

その結果によると、「過去3年間にグループ内で不正が発生した」と回答した企業は、調査を行った企業の32%にも及んだのです。これは、3社に1社の割合で不正が発生しているということです。

 

なお、この調査においては「不正が発生した」という回答を得た企業の数を調べていますが、実際には未だ発覚していない不正がある可能性は十分にあると考えられます。

 

そして、不正が発生したと回答した企業のうち、「国内子会社または海外子会社で不正が発生した」と回答した企業は45%にのぼっています。この数字は、少し乱暴な言い方をすれば、社内で発生した不正行為のうちほぼ半分が子会社で発生しているということを示しています。

 

子会社での不正行為は、その数が多いという点も看過できませんが、子会社における不正の被害金額が多額になる傾向が強いという点も見逃せません。事実、国内子会社や海外子会社で発生した不正の2割以上で損害金額が1億円以上となっていて、10億円以上もの大規模な不正の多くは海外子会社で発生しています。

 

子会社における不正行為は、親会社からのモニタリングが届かないことも関係して不正行為が発見されるまでの期間が長くなりやすく、結果的に損害金額も多額になるリスクが高くなると考えられます。

 

子会社を持っている、もしくは今後子会社を増やそうと考えている経営者の方は、子会社における不正のリスクや、万が一不正が起きた時に被害金額が大きくなるというリスクについてよく把握しておくべきだと言えるでしょう。

 

子会社が不正しているという告発文を受け取った場合の対処法

いきなり会社に「不正が起こっている」という内容の告発文が届いたら、誰でも驚いてしまうでしょう。

 

もしくは、「そんなもの放っておけ」と相手にせず告発文の存在を無視する方もいらっしゃるかもしれません。告発文はたいていの場合、匿名や無記名で送られてくるため、嘘か本当か、ただのいたずらなのかどうか判別がつきにくいものです。

 

では、もし会社に告発文が送られてきた場合、どのように対処していくのが正解なのでしょうか。

 

必要最小限の関係者以外には話さない

会社に告発文が送られてくる場合、経営者、もしくは経営幹部宛に送られてくるケースが多いです。なぜなら、告発文を送ってくる人物は、会社に相手にしてもらわなければ送った意味がありませんので、会社で立場が上の人や決定権を持っている人に内容を読んでもらいたいからです。

 

もし、経営者宛で告発文が送られてきた場合、社内の従業員には極力告発文のことは話さないほうが良いでしょう。経営陣宛に送られた場合はトップの経営者だけに報告し、他の従業員には伏せておいたほうが良いです。

 

多くの従業員に告発文の存在が知られてしまうと、不正を行っている本人の耳にも入ってしまい、不正の証拠を隠滅されたり、逃亡されてしまったりする恐れがあります。

 

不正の証拠を掴むまでは、告発文が送られたということは、多くとも経営陣だけに留めておくのが安全でしょう。

 

本当に不正が行われているかどうかの調査を行う

告発文が送られてきた場合、その内容が本当かどうか確かめる必要があります。ただ、確かめると言っても告発文に書かれている人物に直接確認するのは危険です。

 

例えば「子会社の社長は売り上げを水増しして報告している」などの告発文が届いた場合に、子会社の社長や幹部に直接確認するのは危険ですので辞めましょう。証拠となるものを隠されたり消されたりする危険性があるため、子会社の従業員に知られることなく調査を行い、告発文の内容が本当かどうか調べることが必要です。

 

調査に関しては、親会社の従業員がチェックに入ってしまうと、疑われていることがバレてしまう恐れがありますので、専門の調査会社に依頼して子会社での不正が事実かどうか、事実であればどのような証拠があるのかを調べてもらう方法が安全でお勧めです。

 

証拠がなければ、不正を正すこともできませんし、不正を行っている従業員に処分を下すこともできませんので、裁判になったときでも使えるような客観的な証拠を取ってもらうことが重要です。

 

告発文を送った本人を特定する

不正行為に関する告発文が届いたら、不正の事実を確かめる調査とともに、告発文を送った人物の特定も行っておくと良いでしょう。

 

もし不正が事実であった場合、告発文を送っている人物はより詳しいことを把握している可能性が高いため、不正調査をより正確に進めるための手助けになるはずです。不正がいつから行われているのか、不正に関わっている人物には誰がいるのか、など詳しくヒアリングできれば証拠を掴むまでのスピードも速くなるでしょう。

 

なお、告発文を送った人物が特定できても、最低限の関係者にしか知らせないような配慮は必要です。もし告発文を送った人物について勢に知られてしまえば、今後再び不正が起こったときに告発したり内部通報したりする従業員がいなくなってしまう恐れが大きいためです。

 

まとめ

今回は、子会社の不正行為の実態や不正行為を指摘する告発文が届いた場合の対処法についてお伝えしてきました。

 

社内での不正行為はどれだけ対策を取っていても100%防止することは難しく、まして親会社の目が届きにくい子会社においてはさらに不正の完全防止は難しいでしょう。

 

そのため、もし不正行為に関する告発文が届いたら、放置せずしっかりと事実確認の調査を行い、不正の事実が本当かどうか確かめることが大切です。調査に関しては、企業内の不正調査に精通している専門の調査会社に依頼するようにしてください。