会社を辞めた元社員が退職後にSNSなどインターネット上に会社の誹謗中傷を書き込み、炎上してしまうニュースを耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
Twitterをはじめ、インターネットでは匿名で書き込みをできるため、気軽な気持ちで誹謗中傷を書き込む人も存在します。
しかし、被害を受けた企業側は企業イメージの低下や株価の暴落などその被害は想像以上になってしまいます。
今回は、元社員がSNSなどインターネットで会社への誹謗中傷した場合を想定して、どのような被害が起きうるのか、どのように対処していけばいいのか、そして嫌がらせ被害を予防する方法はあるのかについて解説していきます。
元社員が会社の誹謗中傷を書き込むケースには主に2つのパターンがあります。
1つは個人のSNSに誹謗中傷の内容を書き込むケースです。TwitterなどのSNSでは本名を明かさずに投稿ができるため、罪悪感をあまり持たずに誹謗中傷を書き込む人が増えています。
また、SNSの多くは拡散する機能がついているため、誹謗中傷の内容が話題性に富むものだと、すぐに拡散されてあっという間に広まってしまいます。
「●●会社の社長は秘書にセクハラをしている」
「●●会社は残業代を払わないブラック企業だ」
などという書き込みは、会社が有名企業であればあるほど話題性があるので拡散されて炎上してしまうリスクが高くなります。
一度拡散されて炎上した内容はたとえそれが真実でなくても企業イメージの低下につながることは避けられないでしょう。
もう一つは、就職サイトや転職サイトに、会社の社会的信用を低下させる投稿をされる場合です。
転職サイトでは元社員が口コミを書いているということを前提に多くの人が読むため、リアリティに溢れる投稿であればあるほど、読む人はその情報がたとえ嘘や誇張された内容であったとしても信じてしまいやすくなります。
転職サイトや就職サイトに悪評を書かれてしまうと、会社の社会的信用が落ちてしまうことは目に見えています。
そしてこれらの投稿を見た入社希望者や転職希望者は応募を自粛したり、内定を辞退したりする可能性も出てきますので、採用活動に支障が出るのは当然です。
企業に対しての誹謗中傷や嫌がらせだけでなく、個人に対してのSNSでの嫌がらせもここ数年で急増しています。
SNSは匿名性が高く、罪の意識を感じにくいという特性があり、集団心理も働きやすいので特定の個人や企業についての誹謗中傷が炎上しやすいのです。
特に最近では新型コロナウイルスの影響でSNSに触れる時間が増えたことも要因の一つになっていると考えられます。SNSに触れる時間が長くなり、在宅でストレスがたまったことをSNSでの誹謗中傷で発散している人も少なくないのです。
また、SNSでは裏アカウントといって、普段の自分では言えないようなことを投稿するためのアカウントを作る人もいて、裏アカウントで会社の悪口や誹謗中傷を投稿する人も多く存在します。
裏アカウントで誹謗中傷されると、なかなか素人では犯人を特定することは難しいため、泣き寝入りしてしまう被害者も増えているのです。
参考記事:SNS上で誹謗中傷などの嫌がらせが多発してしまう原因
参考記事:社員や候補者の裏アカウントの特定方法と企業リスクを減らせるワケ
SNSで誹謗中傷される事件は後を絶ちませんが、個人がSNSで誹謗中傷される場合と異なり、会社への誹謗中傷は誹謗中傷を受けた事実そのものよりも、それによる企業活動への影響のほうが恐ろしいです。
会社がSNSで誹謗中傷されると具体的にどのような影響が出てきてしまうのでしょう。
会社への誹謗中傷がSNSで拡散され炎上してしまうと、当然、現在働いている社員たちにもその情報が行き渡ることになります。
会社の誹謗中傷を見てしまったら現社員たちのモチベーションが低下することは避けられないでしょう。中には退職を希望する人も出てくる可能性があります。
有能な社員をSNSでの誹謗中傷で失ってしまうリスクすらあるのです。
会社がSNS上で誹謗中傷されると、会社が展開しているサービスや商品のイメージまで下がってしまい、売れなくなってしまうという被害に発展します。
SNSで「●●会社は衛生管理がずさんで工場では虫がたくさん湧いている」「●●会社は社員に残業ばかりさせてみんな疲弊している」と拡散されてしまうと、そこの会社の商品を買ったりサービスを受けたりすることを控える人が増えることは明らかです。
商品やサービスが売れなければ当然会社の業績も悪化しますし、株価も暴落します。最悪の場合、会社の倒産危機に追い込まれることも考えられます。
転職サイトや就職サイトに会社の誹謗中傷が書かれれば、新卒や中途の入社希望者が減ってしまいます。SNSの誹謗中傷が拡散されれば、入社希望者たちの友人や親族もその会社に入社することを引き留めるでしょう。
採用がうまくいかなくなれば会社のパワーが低下する原因になりますので、会社への影響は計り知れなくなってしまいます。
顧客や社内だけでなく、SNSで嫌がらせを受けた結果、取引先からの信用を失ってしまうリスクもあります。
SNSで炎上しているような会社と取引を続けていると、取引先の会社自体の評判も下がってしまうと考えるため、取引を控える企業も出てくるでしょう。
企業がSNSで嫌がらせを受けると、かなり大きなダメージを受ける可能性があることはご理解いただけたと思います。
では、実際に自分の会社が誹謗中傷の標的にされていた場合、どのような対処を取っていけばいいのでしょうか。対処法を頭に入れておけば、被害を最小限に抑えることにつながりますので、ぜひチェックしておいてください。
SNS上やインターネットのサイト上で会社に対しての誹謗中傷の書き込みを見つけた場合は、まず削除の依頼をしましょう。
嫌がらせの投稿を発見すると、パニックになって誰がこんな投稿をしたのか犯人探しを始めてしまう人が多いのですが、会社の誹謗中傷の内容が少しでも広まることを防ぐために、嫌がらせの投稿を真っ先に削除することを考えなければいけません。
ただし、投稿を自分で削除することはできないため、サイトやSNSの運営者に削除依頼を行うことになります。
削除申請の方法は、SNSや各サイトによって異なりますが、お問い合わせフォームや削除申請フォームが設置されているはずですので、そこから削除して欲しい嫌がらせの内容の投稿の情報と削除申請の理由などを送るという流れです。
削除してほしい根拠がはっきりしていれば、たいていは削除してもらえますが、サイトによっては削除申請に応じない場合もありますので、その際は弁護士に相談して手続きを代行してもらうのが安心です。
削除申請の目途がたったら、嫌がらせの書き込みをした元社員を特定すべきでしょう。元社員に対して、損害賠償や刑事告訴を考えている場合はなおさらです。
加害者の特定方法としては
・SNSやサイトの運営者に発信者のIPアドレス開示の請求をする
・開示されたIPアドレスを基にプロバイダーに対して個人情報の開示を請求する
という流れになります。
この2つの手順は合わせて「発信者情報開示請求」といいます。
IPアドレスの開示請求は個人情報保護の観点から考えても個人が証拠もなくメールや問い合わせフォームで申請しても応じてもらえることはまずありませんので、裁判所を通じて行うことが一般的です。そのため、弁護士の手を借りながら行うことになるでしょう。
また、プロバイダーへの個人情報開示請求も同様に判決で開示を命じられなければ応じることはないので、こちらも合わせて弁護士に依頼しましょう。
詳しくはこちらの【発信者情報開示請求して誹謗中傷投稿者を特定しよう!流れとポイント】を参考にしてみてください。
会社への誹謗中傷を行っていた犯人が特定できたら、次は法的措置を検討する段階に入ります。もちろん、嫌がらせの書き込みの削除対応だけでいい場合はそこまでする必要はありませんが、SNSに誹謗中傷を書き込まれたことによって受けた被害は甚大なものになることが多いので、加害者である元社員に対しては法的措置を取るべきでしょう。
法的措置としては損害賠償請求という手段があります。損害賠償請求は、裁判を使わずに請求することもできますが、応じてもらえなさそうな場合や、より厳格な対応をしたいと考える場合は弁護士に依頼して確実に賠償金を支払ってもらうように準備をしておくことが大切です。
加害者の元社員に対して刑事告訴をするという手段もあります。SNSの誹謗中傷の内容が名誉毀損や侮辱罪にあたることが証明できる場合に刑事告訴をすることができます。
ただし、SNSを含めインターネット上の誹謗中傷は、刑事告訴がなかなか認められないケースが多いですし法律の専門知識が必要になりますので、やはり弁護士に相談することをお勧めします。
元社員からSNSで嫌がらせを受けた場合どこに相談するベストなのでしょうか。
万が一のときに焦らないよう、お勧めの相談先をチェックして普段から調べておくのがお勧めです。
損害賠償請求や刑事告訴を考える場合、法的知識が必要になりますので、嫌がらせを受けたら弁護士に相談するのがいいでしょう。
なお、弁護士にもそれぞれ専門分野があり、相続問題や離婚問題を専門とする弁護士もいますが、中にはネットトラブルを専門的に扱っている法律事務所もあります。
SNSでの嫌がらせや誹謗中傷を受けた場合はそのようなネットトラブルに強い弁護士に相談するのがお勧めです。
弁護士に相談する際、誹謗中傷を受けたという法的証拠が必要になる場面が出てくるでしょう。弁護士だけでも証拠を取れるケースも中にはありますが、本格的な法的措置を取るとなった場合はより説得力のある証拠が必要になります。
そのような場合にはSNS調査に強い探偵へ調査を依頼するのがベストです。
なお、探偵にも専門分野があり、浮気調査メインでほかの調査の経験が少ない事務所もありますので、事前にネットトラブル調査を引き受けているか、実績はあるかどうかを確認しておくのが安心ですね。
なお、当事務所ではネットトラブルの解決事例が多数あり、SNSトラブル調査にも力を入れていますので、元社員からの嫌がらせにお困りの際はぜひご相談ください。
嫌がらせを受けた時の相談先として、警察を思い浮かべる方も多いかと思いますが、警察はなかなか嫌がらせ被害については動いてくれません。
警察は事件性がある場合や命の危険がある場合に捜査などの対応をしてくれますが、SNSの嫌がらせ被害が直接的に事件性があると判断されるケースは稀なのでなかなか警察としても動けないのです。
そのため、警察への相談よりも弁護士や探偵などの民間の専門家に相談したほうが早急な解決を望めます。
元社員からSNSで嫌がらせを受けたとなると大きなショックを受けるでしょう。できれば未然に防ぎたいですよね。
SNSでの嫌がらせ被害を予防する方法としては以下の2つの方法が考えられます。
SNSリテラシーの教育を在職中に徹底的に行うことは、SNSの嫌がらせ被害を予防することにつながります。
SNSでの嫌がらせは元社員が意図的に会社に損害を与えようとしているケースだけではなく、深く考えずに投稿してしまった結果、会社に損害を与える結果になるというケースも多いです。
そのため、元社員からの嫌がらせだけでなく現職の社員からのSNSトラブル被害を防ぐためにも、社員たちにSNSトラブルが与える影響についてよく理解してもらうよう徹底した教育をしていく必要があるでしょう。
元社員からの誹謗中傷トラブルを予防するための対策として、退職する時に秘密保持誓約書を取得するという方法もあります。
秘密保持誓約書とは、在職中に知り得た会社のあらゆる情報について、退職した後漏洩したり開示したりしないことを誓約させる書面のことです。そこに秘密保持誓約書に違反した場合は直ちに削除し、損害賠償請求を承諾する旨を記載しておくといいでしょう。
元社員からネットやSNSで嫌がらせを受けるという被害は決して珍しいことではありません。適切にかつ迅速に対処しなければSNS上で拡散されて被害がどんどん大きくなってしまいます。
就職サイト・転職サイトなどを見た入社希望者からの信用を失う可能性も高いですし、取引先や顧客が離れていくことも考えられます。
退職した元社員からの嫌がらせにお困りの際は一度ネットトラブルに強い弁護士や探偵に相談するようにしてください。